熟練の技と華やかな彩り
唯一無二の紫彩華紋
京都市山科の清水焼団地にある工房「陶楽窯」で、三代目森里陶楽が40年以上にわたる経験をもとに作陶に取り組んでいる。
代々窯業を営む家に生まれ育ち、陶芸の道は自然な選択だった。
1996年に陶楽窯を継ぎ、森里陶楽の名を受け継いでいる。
工房では、当代陶楽はじめ次代の陶工たちが和気あいあいと作陶している。
陶楽窯では代々三島手や粉引など伝統的な技法を受け継ぎ作陶している。
当代になり、渋く玄人好みな三島手が華やかに進化した。
<古来より伝わる三島手。花柄が彫られた陶印を土に押す印花>
代表作「紫彩華紋」は、紫のグラデーションと金彩のアクセントが美しく調和し、オリエンタルな雰囲気を醸し出す。
全体に装飾された印花や色絵は、見る者を魅了する。
複雑な造形と三島手の技法を駆使し、一見して手間のかかった作風が特徴だ。
<これまでに考案された多くのデザインを自在に駆使して華やかな世界観を表現する>
紫彩華紋の作品には、見て楽しみ、使って喜びを感じてほしいという思いが込められている。
手に取った人が感じる手触りの良さや、使い勝手の良さは、彼の丁寧なものづくりの証だ。
今後も陶楽氏は、一つの世界観として作り上げた紫彩華紋をさらに発展させ、伝統を守りつつ新しいデザインを追求していく。
その作品は、使うたびに心を豊かにし、工房での創作の風景を想起させることだろう。
<三代目陶楽 森里秀夫 陶歴>
1959年 京都に生まれる
1977年 京都市日吉が丘高校美術コース日本画卒業
1981年 京都府陶工高等専門学校卒業
同年、手塚玉堂に師事
二代目陶楽の元で作陶を始める
工学博士山本徳治氏の釉薬研究所「美泥塾」に入塾する
1996年 三代目陶楽を襲名
京焼・清水焼伝統工芸士の称号を受ける
全国伝統工芸品展にて日本商工会議所会頭賞を受ける
日本橋高島屋をはじめ全国各地で個展を開催