京都らしさを表現するうつわ　森俊山

京都・東山に息づく伝統の技
俊山窯のものづくり

京都・東山区の泉涌寺（せんにゅうじ）地区には、老舗の清水焼窯元が点在しています。
その中に工房を構えるのが「俊山窯（しゅんざんがま）」です。

当代・森俊次（もり しゅんじ）さんは、名窯・俊山窯の三代目。
家業として自然と陶芸の道に入り、1977年に京都府陶工訓練校を修了、翌年には京都市立工業試験場で陶磁器を学びました。

その後、京焼の名工・宮下善璽氏に師事し、日展などの工芸展でも活躍しました。

花を描く、はんなりとしたうつわ

俊山窯の作品は、ろくろやたたら成形を使い、鉄絵や上絵付で花々を描くのが特徴です。

土の素朴な風合いと、花の多彩な色づかいが調和したうつわは、清水焼ならではの雅（みやび）な雰囲気と、手作りの温かみを感じさせます。

若い陶工が集まる、活気ある工房

俊山窯は、清水焼の窯元の中でも珍しく、複数の陶工が分業で作陶を行う大所帯の工房です。

成形や絵付けを担当する陶工たちは、それぞれが高い技術を持ち、日々ものづくりに取り組んでいます。

工房内には、20代や30代の若い陶工たちの姿も多く、それぞれの持ち場で黙々と作業を進める姿に、静かな活気があふれています。

ラジオの音と道具の音が混じり合う中で、俊山窯の洗練された技術が生き生きと表現されていきます。

使い手の暮らしに寄り添ううつわ

俊山窯の器には、「見て楽しみ、使って喜びを感じてほしい」という思いが込められています。

手に取ったときのなじみの良さや、日常使いに適した使いやすさは、丁寧なものづくりの証です。

今後も森俊次さんは、京都らしい風合いと手作りの温もりを大切にしながら、より多くの人に俊山窯のうつわを知ってもらい、愛用してもらえるよう取り組んでいきます。

伝統的な清水焼の手法で作られる俊山窯の器は、使うたびに心を和ませ、工房での創作の風景をそっと思い出させてくれるでしょう。

俊山窯についてもっと知りたい方はこちら

作家プロフィール｜森 俊次（もり しゅんじ）

• 1957年　京都府生まれ
• 1977年　京都府陶工訓練校 修了
• 1978年　京都市立工業試験場 陶磁器課程 修了
• 1980年　京展 入選（以降毎回入選）
• 　　　　日本新工芸展 入選（以降毎回入選）
• 1981年　日本陶芸展 入選／日展 入選（以降8回入選）
• 1983年　全関西展 第三席 受賞（以降4回受賞）
• 1985年　京都府画廊選抜展 知事賞 受賞
• 1986年　京展 美術懇話会賞 受賞（以降3回受賞）
• 　　　　日本新工芸展 新工芸賞 受賞
• 1987年　ギャラリーマロニエにて個展
• 1988年　創工会選抜展（ギャラリー・ル・モンド）
• 1989年　八木一夫 現代陶芸展 入選
• 1990年　美濃国際陶磁器フェスティバル 入選
• 1991年　京都府工美展 優秀賞 受賞
• 1992年　京都大丸にて個展
• 1993年　京都創作陶芸の流れ展（京都文化博物館）
• 1994年　新宿伊勢丹にて個展
• 1997年　日工会展 日工会会員賞 受賞

現在：
日工会 会員／京都府工芸美術作家協会 会員