自然に囲まれた工房で作られるうつわ
京都府の西、日本海にも近い里山・京丹波に陶房「永田工房」をかまえる永田隆郎(たかお)さん。
京都生まれの永田さんは、50年を超すキャリアを誇るベテランの陶芸家です。
古民家を改修した風情あふれる陶房では、焼き物の魅力あふれるうつわが作られています。

静かな工房には窓から自然光が差し込み、永田さんの手を動かす音が静かに響きます。
永田さんのうつわは、型成形や染付、鉄絵といった技法が融合し、焼き物特有の味わいを引き立てます。
型押し技法が生み出す手仕事の表情

永田さんのうつわは、平らにした土を一点一点指で型に押しつけて成形する「型押し技法」で作られています。
この技法はロクロで成形するよりも時間がかかり、とても手間のかかる作り方です。

指のあとがところどころに残り、揺らぎとなって、手作り感あふれる独特の風合いを生み出しています。
絵付けを担うのは京友禅出身の奥様

絵付けは、かつて京友禅の職人として活躍していた奥様が手がけています。
染付の淡い藍色と繊細な筆使いが魅力で、主張しすぎない控えめな美しさと調和が感じられる作品に仕上がっています。
磁器と陶器、それぞれの美しさを活かして
透明感ある白磁の輝き、素朴な陶器の質感──どちらも永田さんの作品が持つ特徴です。
シンプルでありながらも、どこか凛とした存在感を放つその器は、手に取る人に安らぎを与えます。

永田さんはこれからも、日々の暮らしを彩る器を作り続けることでしょう。
その一つひとつに込められた丁寧な想いが、時を超えて伝わります。

陶歴
- 永田工房 永田隆郎(たかお) 雅号:月山
- 1953年 京都に生まれる
- 1973年 奈良芸術短期大学 陶芸科 卒業
- 同年 京都のクラフト工房「平安陶苑」にて高島朝生氏に師事
- 1978年 京都クラフト展 入選
- 1990年 京都府船井郡瑞穂町にて築窯

KOTOPOTTER 店主
横山雅駿
10年以上にわたり、京焼・清水焼はじめ伝統工芸品や陶磁器に携わっています。
京都の窯元や陶芸家と連携し知見や審美眼を深めながら、新しい伝統工芸品の在り方を模索しています。
2024年に京焼・清水焼専門のECサイトKOTOPOTTERを立ち上げました。