都会の洗練さと清水焼 秀峰堂 武内裕

一閑人、交趾、染付
古典的な図案がモダンに交差する

京都・東山の落ち着いた一角に工房を構える「秀峰堂(しゅうほうどう)」。
当主の武内裕(たけうち ゆたか)さんは、清水焼の伝統を大切にしながら、新しい感覚を取り入れた作品づくりに取り組んでいます。

古典的な模様に現代的な要素を組み合わせた独自のスタイルで、多くのファンを魅了しています。

遊び心ある伝統「一閑人」とは

代表的なモチーフである「一閑人(いっかんじん)」は、中国から伝わり、日本では茶道具などに使われてきたデザインです。

井戸を覗き込む姿を描いたユニークな意匠で、「井戸のぞき」とも呼ばれ、遊び心のある雰囲気が魅力です。

武内さんはこの一閑人に、染付(そめつけ)、イッチン(立体的に線を描く装飾技法)、交趾焼(こうちやき)といった多様な技法を重ねることで、伝統と現代の絶妙なバランスを表現しています。

食卓に映えるデザインと技巧

こうした複数の技法を融合させた作品は、食卓を鮮やかに彩りながら、見る人の記憶に残る深い印象を与えます。

その緻密な仕上がりとユニークな発想から、工芸としての美しさだけでなく、日々の暮らしに溶け込むやさしさも感じられます。

個展を通して進化し続ける作品

武内さんは毎年個展を開催し、新しいデザインの発表だけでなく、作品を愛する人たちとの直接の交流も大切にしています。

そうした場での対話や反応が、次の作品へのヒントとなり、常に新しい挑戦へとつながっています。

還暦を迎えても尽きない情熱

還暦を迎えた今も、創作への情熱は衰えるどころか、ますます意欲的に作品づくりに取り組んでいます。

その熱意は、うつわ一つひとつに息づき、使う人の暮らしに豊かさと楽しさを届けてくれます。

 

作家プロフィール|武内 裕(たけうち ゆたか)

  • 1961年(昭和36年) 京都市に生まれる
  • 明治大学法学部 卒業
  • 京都府陶工訓練校 成形科 修了(ロクロ技術を習得)
  • 伝統的な図案に加え、現代的な感覚を加えた作品を制作
  • 一閑人の器に、染付・イッチン盛り・交趾焼きを組み合わせた独自技法を確立
  • 1996年(平成8年) 京焼・清水焼展 京都信用金庫理事長賞 受賞
  • 2000年(平成12年) 未来への提示商品コンクール 第5位 奨励賞
  • 2002年(平成14年) 新作展 理事長賞 受賞


店主のイラスト

KOTOPOTTER 店主

横山雅駿

10年以上にわたり、京焼・清水焼はじめ伝統工芸品や陶磁器に携わっています。

京都の窯元や陶芸家と連携し知見や審美眼を深めながら、新しい伝統工芸品の在り方を模索しています。

2024年に京焼・清水焼専門のECサイトKOTOPOTTERを立ち上げました。


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