半世紀以上にわたる釉薬研究は
完璧な表現を目指して
京都の北部、自然豊かな京北（けいほく）の里山に、陶芸家・和泉良法（いずみ よしのり）さんの工房があります。
のどかな風景が広がるこの地に工房を構えて数十年。和泉さんは独自の釉薬（うわぐすり）の研究を長年にわたり続けてきました。
旅する陶芸家、探求する心
旅行が趣味でもある和泉さんは、70歳を過ぎた今でも、奥様とともに国内外を旅しています。
旅先では、釉薬や粘土の原料になりそうな素材を見つけては持ち帰り、研究に活かしています。
その探求心は趣味のようでもありながら、そこから生まれる釉薬の美しさはまさに本物です。
同じものは二度と生まれない「流星天目」
和泉さんの代表作「流星天目（りゅうせいてんもく）」は、焼成時の温度の変化や釉薬中の微細な成分の違いによって、毎回異なる表情を見せます。
全く同じものは二つとない、まさに一期一会の作品です。
技と設備に支えられた、静かな挑戦
京北の工房には、一人で使うには広すぎるほどの空間に複数の窯が並びます。
最新の温度制御が可能な電気窯から、昔ながらのガス窯まで、目指す仕上がりに応じて使い分けられています。
（細かく焼成温度や時間を制御できる電気窯）
50年以上にわたる釉薬の知識と感覚、そして充実した設備をもってしても、納得のいく仕上がりにならないこともあるといいます。
最後は経験と「時の運」。
その中で生まれる和泉さんの表現は、多くの人の心を魅了し続けています。
作家プロフィール｜和泉 良法（いずみ よしのり）
- 1947年9月 京都市東山区に生まれる
- 1970年 大阪芸術大学 クラフトデザイン陶芸科 卒業
- 1971年 京都市立工業試験場 卒業
- 1977年より 東京・大阪で毎年個展を開催
- 1994年 中国に渡り、青磁・天目の古窯跡を視察
- 2013年 京都市右京区京北に工房を移転
KOTOPOTTER 店主
横山雅駿
10年以上にわたり、京焼・清水焼はじめ伝統工芸品や陶磁器に携わっています。
京都の窯元や陶芸家と連携し知見や審美眼を深めながら、新しい伝統工芸品の在り方を模索しています。
2024年に京焼・清水焼専門のECサイトKOTOPOTTERを立ち上げました。