伝統に縛られない感性は
異色の経歴から生まれる
陶芸界では作り手の高齢化が進む中、1985年生まれの澤田卓伸(さわだ たくのぶ)さん〈雅号:TAKUNOBU〉は、独立した陶芸家としては比較的若い世代にあたります。
陶芸の技術は一朝一夕で身につくものではありません。
時間をかけて、日々の積み重ねの中でこそ磨かれるものです。
澤田さんは、すでに20年以上の作陶歴を持ち、その技術と表現力を活かして独自の世界観を築いてきました。
のびやかな環境で育まれた感性
澤田さんの工房は、京都・南丹市の自然に囲まれた田園地帯にあります。
陶芸家である父の背中を見て育ち、幼い頃から陶芸に興味を持っていた澤田さん。
10代半ばから家業を手伝い始め、学校の訓練ではなく、実際の制作現場を通じて技術を身につけていきました。
昔ながらの徒弟制度のような道のりですが、澤田さんにとっては自然な流れ。迷うことなく陶芸の道を歩み続けています。
繊細な技と大胆な色づかい
彼の作品には、写実的な動物の絵が施されたシリーズがあります。
これは白化粧のうえに細かな線を掻き落として描く技法で、筆で描くよりも格段に難しい表現です。
また、深い瑠璃色と鮮やかな橙色を使ったシリーズは、エスニックな雰囲気を持ちながらも、現代の暮らしに溶け込むデザインが印象的です。
独自の表現を追い求めて
澤田さんの作風には、既存のスタイルにとらわれない自由な精神があふれています。
その世界観はジャンルに縛られることなく、常に進化を続けています。
伝統と革新を行き来しながら、日常を彩る個性的なうつわを今日も生み出し続けています。
作家プロフィール|澤田 卓伸(TAKUNOBU)
- 1985年 京都府生まれ
- 2000年より 父を師として陶芸を始める
KOTOPOTTER 店主
横山雅駿
10年以上にわたり、京焼・清水焼はじめ伝統工芸品や陶磁器に携わっています。
京都の窯元や陶芸家と連携し知見や審美眼を深めながら、新しい伝統工芸品の在り方を模索しています。
2024年に京焼・清水焼専門のECサイトKOTOPOTTERを立ち上げました。