京都・東山に息づく、白磁の美
岩華窯のものづくり
京都・東山区に佇む「岩華窯（がんかがま）」は、明治初期から続く京焼・清水焼の伝統を育んできた歴史ある窯元です。
静かな工房では、六代目・高木岩華（たかぎ がんか）こと高木竜太（たかぎ りゅうた）さんが、轆轤（ろくろ）に向かいながら、ひとつひとつ丁寧に白磁の器を形づくっています。
職人の手から生まれる、気品ある器
高木竜太さんは主にロクロなどの成形を担当されています。
高木さんが成形した器に、絵付け師が細やかな筆づかいで染付や鉄絵を施します。
岩華窯の器は、熟練の職人たちの連携によって完成する作品です。
焼き上がった白磁の器には、染付の美しい青や鉄絵の渋い色で表現された絵柄が浮かび上がり、透明感のある白さと上品なコントラストが印象的です。
京焼の伝統と、現代の空間になじむ美しさ
岩華窯の器は、伝統を継承した絵付けでありながら、現代の暮らしや空間にも自然に溶け込むデザインが魅力。
日常の食卓にそっと彩りを添えながらも、華美になりすぎず、気取らないやさしさがあります。
青い海と空を思わせる「トルコブルー」
竜太さん自身の作風のひとつに、「トルコブルー」と呼ばれる鮮やかな青色があります。
これは、かつて陶芸修行で訪れた沖縄で見た青い海と空からインスピレーションを得た色彩です。
透き通るような青は、日常に穏やかで心地よい時間を届けてくれます。
焼成の瞬間に宿る、岩華窯の美意識
器を焼き上げる際には、窯の温度や時間のほんのわずかな違いにも気を配り、器がもっとも美しく仕上がるよう、職人たちは細やかに調整を重ねています。
白磁の澄んだ白さと、染付や鉄絵の優しい彩り。
その絶妙なコントラストは、岩華窯ならではの技術と美意識の結晶です。
日常に、さりげない雅を
岩華窯の器には、「日常の中で、気負わずに愛されるうつわであってほしい」という思いが込められています。
職人たちの積み重ねてきた技術と、丁寧な手仕事が、食卓にささやかな贅沢をもたらします。
器を手に取るたびに感じられる、京都の静かな美しさ――どうぞ、岩華窯の作品を通してお楽しみください。
岩華窯 6代目高木岩華 高木竜太 略歴
1998年 京都市に生まれる
2008年 京都府立陶工高等技術専門校 成形科修了
2009年 同校 研究科修了
2010年 京都市産業技術研究所 陶磁器本科修了、沖縄読谷山焼 山田真萬氏に師事
2013年 父・高木岩華（五代）に師事
2016年 五代・岩華の死去に伴い、六代・岩華を継承
受賞歴
2018年 第40回 京焼・清水焼展 入賞
2019年 第41回 京焼・清水焼展 入賞
2021年 第43回 京焼・清水焼展 入賞
2022年 第44回 京焼・清水焼展 入賞
2023年 第45回 京焼・清水焼展 入賞
地元京都を中心に全国各地で展覧会に出展。
岩華窯 高木竜太さんについてもっと詳しく
KOTOPOTTER 店主
横山雅駿
10年以上にわたり、京焼・清水焼はじめ伝統工芸品や陶磁器に携わっています。
京都の窯元や陶芸家と連携し知見や審美眼を深めながら、新しい伝統工芸品の在り方を模索しています。
2024年に京焼・清水焼専門のECサイトKOTOPOTTERを立ち上げました。