自然と伝統が織りなす
時代を超える芸術
京都の古寺・勧修寺(かんしゅうじ)のほど近くにある「大日窯(だいにちがま)」。
ここでは、父・竹村繁男(たけむら しげお)さんと息子の陽太郎(ようたろう)さんが、それぞれの感性を活かしながら、うつわづくりに取り組んでいます。
自然を焼き込む独自の表現
繁男さんは、自然の植物から生まれる灰を使った独自の釉薬(うわぐすり)や顔料を用いた表現で知られています。
ぶどう農家で育った経験から、ぶどうの枝や葉を燃やして得た灰を釉薬に取り入れたことが始まりでした。
その灰がもたらす深みのある色と質感は、繁男さんならではの表現です。
以降もさまざまな植物の灰を使い、大自然の力強さを器の中に映し出してきました。自然への敬意が、作品の随所に表れています。
幾何と色彩で魅せる次世代の感性
息子の陽太郎さんは、現代的な技法を駆使しながら新しい表現に挑戦しています。
エアスプレーとマスキングを使って、鮮やかな色のグラデーションや幾何学模様を器に描き出すスタイルは、現代アートのような印象を与えます。
はっきりとした色使いとモダンなデザインは、見る人に強いインパクトを与えるだけでなく、日常にも溶け込むバランスを保っています。
親子が織りなす、静かな対話
工房では、繁男さんと陽太郎さんが、それぞれ異なるスタイルを持ちながらも、お互いを刺激し合うように作品をつくり続けています。
自然素材の魅力を活かす父と、色と形で新たな世界を描く息子――。二人の対話から生まれる作品には、過去と未来が共存しています。
それぞれの技術と感性が響き合うことで、日本の陶芸に新たな風を吹き込んでいます。
使うたびに深まる魅力
大日窯の器は、使うたびに味わいが深まり、使い手の暮らしにそっと寄り添います。
決して派手ではないけれど、その存在感は強く、暮らしの中にあるだけで空間を豊かに彩ります。
手にした人にとって、長く愛せる「かけがえのない一品」となることでしょう。
竹村繁男
1953年 京都山科に生まれる
1972年 京都市立日吉ヶ丘高校陶芸科卒業 木村盛伸先生に師事する
1975年 第四回『日本工芸会近畿支部展』初入選 以来毎年入選
1978年 京都府工芸美術展入選
1980年 独立し、山科に大日窯を開窯する
1988年 第三十五回『日本伝統工芸展』入選
1989年 『土の子会』結成
1994年 『蓬莱会作陶展』に出品
1996年 第二十五回『日本伝統工芸近畿展』奨励賞受賞
高島屋大阪店にて個展 以後隔年
1998年 第五十三回『新匠工芸会展』入選
2001年 京都工芸美術作家協会展『二十一世紀の出発』
高島屋京都店にて個展(2006年・2010年)
2003年 高島屋岡山店にて個展(2005年・2007年)
高島屋横浜店にて個展(2006年・2008年)
2007年 第三十六回『日本伝統工芸近畿展』京都府教育委員会教育長賞受賞
2008年 日本工芸会陶芸部会正会員による、第三十六回『新作陶芸展』日本工芸会賞受賞
2010年 第三十九回日本伝統工芸近畿展にて鑑査委員に就任
竹村陽太郎
1981年 京都山科に生まれる
2009年 京都府立陶工高等技術専門校 成形科修了
2010年 京都市工業試験場 陶磁器研修コース修了 大日窯にて父、繁男と共に作陶を始める
2011年 第四十回『日本伝統工芸近畿展』入選
国民文化祭 京都2011・美術展「工芸」奨励賞受賞
2012年 第四十一回『日本伝統工芸近畿展』入選
京都美術・工芸ビエンナーレ入選
2013年 第四十二回『日本伝統工芸近畿展』入選
高島屋京都店・美術工芸サロンにて個展
2014年 第四十三回『日本伝統工芸近畿展』入選
2015年 第四十四回『日本伝統工芸近畿展』入選
2016年 第四十五回『日本伝統工芸近畿展』入選
KOTOPOTTER 店主
横山雅駿
10年以上にわたり、京焼・清水焼はじめ伝統工芸品や陶磁器に携わっています。
京都の窯元や陶芸家と連携し知見や審美眼を深めながら、新しい伝統工芸品の在り方を模索しています。
2024年に京焼・清水焼専門のECサイトKOTOPOTTERを立ち上げました。